「おばあちゃんの葬儀で孫代表の挨拶してね!」と急に言われたら大変ですよね。親は葬儀のことで忙しくしていると思いますので、親に対して相談もできそうにないでしょう。また、「孫代表として挨拶をしてもらいたいけど、まだ子供だからある程度作ってあげないといけない!」という方もいると思います。このページでは、孫代表としての「挨拶の準備」から「当日使える例文」まで年代別に分けています。最後までご覧頂ければ孫代表としての挨拶は完璧なものとなるでしょう。
目次
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶って何?
葬儀で行う挨拶は主に「弔辞(ちょうじ)」と言います。ただ、告別式の最後に行う「喪主挨拶」の後に、孫として代表で挨拶をする場合が稀にあります。他にも喪主挨拶の代わりに、孫代表の挨拶があったりもします。弔辞の意味としては、「孫として祖父・祖母へ永遠の別れを述べる」ということです。
弔辞には、厳密な構成や文章量が決まっているわけではないですが、3段階からなる構成と、原稿用紙1~2枚分の文章量で、3分以内で話せるくらいがベストです。弔辞を書く際にいくつかのルールがあります。それは、「縦書きで書く」「薄墨の毛筆で書く」「奉書紙に書く」などです。必ず守らなければならないわけではありませんが、弔辞に書くべきでない言葉は避けるようにしましょう。
このページを読むことによって、読者の皆さんが得られる知識を、このページの流れとともにまとめておきます。
・孫からの挨拶(弔辞)の構成が3段階で成り立っていることが分かる
・弔辞の書き方のルールが分かる
・弔辞に書くべきでない3種類の言葉を理解できる
・恥ずかしい思いをすることなく、孫代表として挨拶をすることができる
・葬儀の当日までにやっておくべきことが分かる
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶の構成
孫が行う挨拶の構成は、3段階の構成でまとめることができます。
1.故人への呼びかけ(来場者に対しての挨拶)
2.故人とのエピソード(亡くなる前の状態について説明)
3.故人への別れの言葉(別れの言葉と来場者への感謝)
( )内は弔辞ではなく、喪主挨拶の後や代行で孫がする場合に言っておきたい内容です。弔辞の場合は( )内を気にする必要はありません。
弔辞というのは、故人と親しかった方が読むものなので、堅苦しい言葉や表現は必要ありません。むしろ、「素直な気持ち」を述べた方が喜ばれます。ですので、年代別に使う言葉や表現などを分けておく必要があります。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶の例
「年代別に挨拶で述べる言葉や表現を変えた方が良い」と言いました。このページでは、孫が「成人している場合」「学生の場合」「小さい子供の場合」の3種類に分けて例文を出しています。孫が大学生の場合は成人向けでも、学生向けどちらを選んでも構いません。小学生は「小さい子供」にするのか「学生」にするのかは文面を見ながら判断してみてください。
祖父・祖母の葬儀で挨拶をする孫が成人している場合
おじいちゃんやおばあちゃんなどの表現は子供っぽいので、冒頭の部分は参列者への挨拶も含めて「祖父」や「祖母」と表現するようにしたいです。難しい表現を用いる必要はありませんが、常識がない人と思わないような文章を作成しましょう。
本日、祖母の霊前においてお別れの言葉を述べますこと、いつかこんな日が来ると覚悟していましたが、突然の訃報でいまだに実感できていません。
祖母はいつでも私のことを優しく包み込んでくれて、笑顔が素敵な人でした。
私が小さい頃、おばあちゃんの家へ遊びに行くと、いつも朗らかな笑顔で迎えてくれました。私が「好きだ」と言った食べ物を用意して待ってくれていたことは、今でも鮮明に覚えています。お酒が入ってテンションが上がると、習っていたフラダンスを踊って、おばあちゃんのフラダンス教室が急遽始まったことも忘れられないひと時でした。
長い間、私たちのことを見守ってくれて、優しく接してくれてありがとう。おばあちゃんとの思い出は一生忘れません。長い間ご苦労様でした。安らかにお休みください。
孫代表〇〇 〇〇
故人への呼びかけの部分(冒頭)は、参列者にも聞いてもらいたい部分なので「おばあちゃん」とするのではなく、「祖母」とするようにしましょう。エピソードの部分は祖母との思い出や、印象に残っていること(祖母が生前好きだったこと、してもらって嬉しかったこと)などを述べるようにします。
祖父・祖母の葬儀で挨拶をする孫が学生の場合
小学生・中学生・高校生・大学生と幅広い年代が学生に該当すると思います。大人用のものにするか、学生用の例文にするかはお子さんの能力や年齢との兼ね合いで決めてみてください。
おばあちゃんへ。
いつも優しくしてくれたおばあちゃんと別れる日が来てしまいました。おばあちゃんに感謝の気持ちを伝えることができないまま、お別れすることになってしまって、本当に残念です。
おばあちゃんには自分が悪いことをして、お父さんに怒られた時も、優しく慰めてくれたことを覚えています。「お父さんは〇〇のことを想って言ってくれてるんだよ」と言われて、思わず泣いてしまいましたね。おばあちゃんの料理はすごく美味しくて「うまいうまい!」と食べていたら、次来た時にも忘れずに作って準備してくれてたね。
あんなに私のことを想ってくれてたのに、感謝の気持ちを伝えることができなくて、本当に後悔しています。お父さんお母さんには感謝の気持ちを日々伝えていきます。おばあちゃん、今まで本当にありがとう。これからも私たちのことを見守っててね。
孫代表〇〇 〇〇
学生ですので、祖父・祖母の死を理解しているはずです。エピソードの部分は学生らしくダメだった部分や、怒られた経験を入れていっても良いでしょう。「暗い挨拶にしたくない」という方は楽しかったことなどを中心に述べても問題ありません。
祖父・祖母の葬儀で挨拶をする孫が小さい場合
未就学児や小学生など、お子さんが小さい場合は、こちらの小さい子向けの挨拶でも問題ありません。お子さんが読みやすいように、平仮名を多用しつつ書いてあげてください。時間があるのであれば、お子さんが書いた内容を添削してあげるとよいでしょう。
おばあちゃんへ。
いつも僕のことを大切にしてくれてありがとう。
大切なおばあちゃんがいなくなってしまったのは残念です。
おばあちゃんの家に行ったとき、美味しいご飯を出してくれてありがとう。
運動会に来て、応援してくれてありがとう。
僕はおばあちゃんとの思い出を忘れません。今までありがとう。
いつまでも僕たちを見守っててね。
さようなら。
孫代表〇〇 〇〇
このページでは漢字を多用していますが、お子さんが読めない漢字を書いても仕方がないので、お子さんにあった漢字を使って書いてください。小さいお子さんの場合は、エピソードの部分を多くしてあげるとある程度のボリュームになってきます。途中でグダグダになってしまうようでしたら、練習する時点で文章を短くしておきましょう。
弔辞は、ご自身で読む原稿を見ながら読んでも問題ありません。喪主挨拶の後や、その代わりの孫代表からの挨拶の場合は、簡単に話すものなので原稿を見ることは基本的にはないです。
このように考えている方も多いと思います。ご自身のお子さんが小さい場合は近くにいてあげても問題ありません。何か問題があればすぐに駆け付けましょう。それでも不安な場合は、文章量などを少なくしておくのも1つの手です。
祖父・祖母の葬儀で行う孫挨拶のポイント
孫代表として挨拶をする際のポイントはいくつかあります。このページでは「挨拶までの流れ」「挨拶の原稿(弔辞)の書き方」の2つについて分かりやすく解説していきます。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶までの流れ
弔辞を読むのは基本的には「告別式(葬儀)」になります。孫代表として読む弔辞までの流れを簡単に説明します。
1.孫代表の名前が呼ばれる
2.席を立って通路に出る
3.遺族側に対して一礼
4.参列者側に対して一礼
5.故人に対して一礼
6.弔辞を読む
7.弔辞を祭壇に置く
8.故人に対して一礼
9.参列者側に対して一礼
10.遺族側に対して一礼
11.自分の席に戻り着席する
少し細かく書きましたが、このような流れになっています。弔辞を包んでいる紙がある場合は、前にある台に置いても構いません。もしも包んでいる紙を置けそうな台がなければ、手に持ったまま弔辞を読みましょう。
弔辞を読んだ後、そのままご自分の席へ持って帰ってしまう方がいますが、それは間違いです。というのも、弔辞は遺族の元へ行って管理されるからです。ゆえに「自分が読めれば問題ない!」といった考えで字を雑に書くのはNGです。遺族の方が読むので丁寧な字で、誤字脱字等は気を付けるようにしましょう。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶の書き方
丁寧に書くだけではなく、書き方や用紙などにもルールがあります。このページでは「弔辞は縦書きで書く」「ペンは薄墨の筆で書く」「用紙は奉書紙に書く」などのルールについて解説していきます。
これをしっかりとすることによって、故人に対して弔意(故人を偲ぶ気持ち)を示すことができますし、遺族に対して失礼になりません。叔父や叔母の元へ行っても失礼のないような弔辞にしておきましょう。以下の弔辞の書き方を抑えれば問題ありません。
・縦書きで書く
・薄墨の毛筆(薄墨のペンでも可)を使って書く
・弔辞の用紙は「奉書紙(ほうしょがみ)」もしくは「巻紙」
・右側に余白を空けて書く
薄墨の毛筆がなければ、薄墨のペンでも問題ありません。奉書紙や巻紙を使って書く場合は、右側10cmほどの余白を空けてから書きます。
「白い便箋」でも代用可能です。奉書紙は最近、香典を包むことにも使用されている最高級の和紙です。文房具店などに売っていることも多いです。奉書紙でも便箋でも同じですが、上包み(弔辞を包んでいる紙)には「弔辞」と手書きで書いておくようにしましょう。その下には「ご自身の氏名」を入れるのが適当です。
字を書くのが苦手な方もいると思います。その場合はパソコンで弔辞を作ってしまっても問題はありません。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶の注意点
弔辞は故人に対する素直な気持ちを表せる反面、使うのが好まれない言葉があります。結論から言いますと、「忌み言葉(いみことば)」「縁起の悪い言葉」「宗教上好まれない言葉」の3つです。
このページを見ているのが親御さんであるのなら、弔辞を読む練習をする前に使うべきでない語句が入っていないか、確認をする必要がありますし、孫の立場の方が見ているのであれば、校閲する際に該当するものがないか確認しておきましょう。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶で避けるべき忌み言葉
忌み言葉とは、同じ言葉の繰り返し(ますます・重ね重ねなど)や、「生」や「死」を直接連想させてしまう言葉や数字(4や9)などを指します。
同じ言葉の繰り返し
「ますます」「重ね重ね」「たびたび」「しばしば」「つぎつぎ」「再三」「追って」など
→良くないことが続いてしまうように感じるため
「生」や「死」を直接連想させてしまう言葉や数字
「生存」「生きる」→「生前」
「死亡」「死ぬ」→「逝去」
「悲しむ」→「傷心」「痛恨」
「4」「9」→4は死を表し、9は苦しみを表します。言い換えるのであれば「よん、よっつ」「きゅう、ここのつ」と言い換えるべき
生存や死亡などは直接的でよくない表現ですので、「生前」や「逝去」と言い換えるようにしましょう。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶で避けるべき縁起の悪い言葉
「浅い」「薄い」「終わる」「壊れる」「辛い」「大変」などの縁起の悪いとされている言葉を弔辞で話すのはよくないとされています。
祖父・祖母の葬儀で行う孫からの挨拶で避けるべき宗教上好まれない言葉
遺族の宗教や宗派によっては使わない方が良い言葉があります。
仏教で使う「供養」「成仏」「冥福」などの言葉は、神道やキリスト教では使用しません。
よく使われる「ご冥福をお祈りいたします」という言葉はキリスト教はもちろん、仏教の宗派の1つである「浄土真宗」でも使うのは好ましくないです。逆もしかりで、「天国」はキリスト教の言葉なので仏教では使用しない方が安全です。
現代は避けるべき言葉に対して「比較的寛容」であると言えます。ですが、受け取る人(遺族)がどう感じるかによって、あなたの評価が「常識のある人」となるか「常識のない失礼な人」となるか決まってきます。このページで述べた縁起の悪い言葉などは最低限押さえておきましょう。
孫が祖父・祖母の葬儀までに準備しておくべきこと
孫が祖父・祖母の葬儀までに準備しておきたいことは、「弔辞を読む練習をしておく」「葬儀のスケジュールを把握しておく」ことです。「書いてあることを読むだけだから練習する必要あるの?」と思う方もいると思いますが、それでも練習はするべきです。
葬儀当日は緊張感のある雰囲気が漂っています。どのような作法で弔辞を開いて、どのくらいの声量で言わなければならないのか、などと当日気にしなくてはならないポイントがたくさんあります。にもかかわらず、原稿を読むことにも慣れていなければ、気にすることが多すぎて軽いパニック状態になり、準備したことが無駄になってしまいます。
何度も弔辞を読む練習をすれば、当日も緊張しすぎることなくご自分の言葉で故人に想いを伝えることができるはずです。
葬儀のスケジュールを事前に確認しておくことは大事なことです。突然指名されて弔辞を読まされるよりも、あらかじめ指名されることが分かっている状態で弔辞を読むほうがメンタル的にも安心です。
まとめ
このページでは、「祖父・祖母の葬儀における孫の挨拶例」について孫の挨拶(弔辞)に関連するところを中心に分かりやすく解説してきましたが、理解できましたでしょうか?今回解説したことをまとめていきましょう。
・葬儀で行う挨拶は「弔辞(ちょうじ)」の場合が多い。中には喪主挨拶の代わりか、その後に孫代表としての挨拶がある
・孫からの挨拶(弔辞)の構成として、
1.故人への呼びかけ
2.故人とのエピソード
3.故人への別れの言葉
・孫からの挨拶(喪主挨拶の代わりか、その後)の構成として
1.来場者に対しての挨拶
2.亡くなる前の故人の状態ついてや故人とのエピソード
3.故人への別れの言葉と来場者への感謝
・孫からの挨拶は孫が「成人している場合」「学生の場合」「小さい場合」の3つに分けることができる
・弔辞は縦書きで書く
・弔辞はなるべく薄墨の毛筆で書く
・弔辞を書く紙は「奉書紙(ほうしょがみ)」もしくは「巻紙」なければ「白い便箋」でも可
・手書きが苦手な人はパソコンで弔辞を作っても良い
・読み終わった弔辞は自分で持って帰るのではなく、祭壇に置いて、遺族に渡す
・弔辞に書くべきでない言葉は「忌み言葉」「縁起の悪い言葉」「宗教上好まれない言葉」
・孫が葬儀までに準備すべきことは、「葬儀の流れの確認」「弔辞を読む練習」
いかがでしたでしょうか。「祖父・祖母の葬儀での孫の挨拶」についてしっかりと理解出来ましたか?「弔辞」にはたくさんのマナーやルールがあったと思います。「葬儀まで時間がないのに大変!」と思った方もいると思います。ですが、葬儀は皆さんが故人に直接別れを伝えることのできる最後の機会です。後悔のないように気持ちよく故人を送り出してあげましょう。葬儀・仏壇・お墓・相続には色々なルールがあります。皆さんが葬儀等で困るであろう状況を解決するために、有益な情報を発信していますので、気になる方は他の記事もご覧ください。
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